2013年8月24日土曜日

風立ちぬレビュー

たった今、見てきました。

物語の人の宮崎監督にしてはだいぶ
詩的な方法を使おうとしたのがよく見えます。
つまるところ、イメージを別のイメージに置き換えながら
提示し直す手法です。

風を媒介にして手渡して行くというシーンが何度となく描かれて
それがタイトルである、「風立ちぬ」の別の形象であり、
続いて口ずさまれる「生きて」という言葉で価値付けをされています。
ま、ど直球なメッセージですね。

逆にストーリーの軸は非常に貧弱です。
何故、飛行機なのか、何故、それを作らねばならないのか
そういったものはほとんど意図的と言っていいほど排除されています。
これらの理由付けはドラマを作る上で不可欠にもかかわらず、です。

物語作りのベテランである宮崎がそのことを分かっていないとも思えず
そうなると、ここに残るのは詩を借りたメッセージということになります。
では、誰に向けているのかと言った時にそれは当然観客だと見えますが
まず第一に市井に生きる人々を意識していたと思われます。
というのも、一般風俗にウェイトをおいた描写が多くて、
出稼ぎの人やシベリアだとかそんなもの書く必要あるのか、と思えるほどです。
でも、その割に衆愚のように扱っててまったく好感もてないのよね。

あぁ、それとタバコのシーンはどうということもなく
これで広告効果もあると思えないので、条約に抵触することもないかと思いますが
キスシーンが割と多いので、いちゃこらしやがってと
こちらの方が規制したほうがよろしいんじゃないでしょうか。